2010年10月12日火曜日

本編では、内容が変更される可能性があります

 
・授業開始
 
「この問題を、そうだな、佐藤やってみろ」
和服の数学教師こと、中山諭吉が委員長である信長に質問をあてる。
教室からは、哀れむ声、不穏な声、さまざまな声が響いた。
「……短い人生だったな、あの新人教師。呪うなら、自身の無能さを呪うがいい」
何気に酷いことをいうのがエレキテル・源内。十字を切って冥福を祈りだしている。
「ふぁあ、また伝説が増えるのう。そしてわらわの予言の的中率が上がる、いい事ずくめじゃのう」
あくびをかみ殺しつつ、喋るのは斉藤卑弥呼。
「……防御体勢」
ぼそりといいつつ、姿勢を低くして辞書で壁を作るのは、田中家康。
「……あの男、無礼極まりない。もしものときは、その命無きものと心得よ」
と、鈴木秀吉。
そして、そんなことなどどこ吹く風と信長が答える。
X=5Y=2Z11だ」
BAKANA!! 即答だと。いや、だから前に来て黒板に書け。……って、正解だし!!」
「殿に歩けと申すのか、この下郎が」
信長の前にいる秀吉の席から殺気と共にドスの聞いた声が響く。
そうこうしている間につかつかと数学教師の中山諭吉が信長の片に手を掛ける。
「いいから前に来て式を書け、佐藤信長。私は、他の甘い教師とは違う。誰も特別扱いなどしないのだ」
「……お前の見通しの方が甘いというのに」
ぼそりと源内が毒を吐く。
肩をつかみ立ち上がらせようとした瞬間に事は起こった。
「お兄様に近付く不貞の輩。……殺す、コロス、ころす」
不気味な声と共に、無数のくないが天井を貫通し諭吉師に向かって飛来する。
くないは彼のスーツに突き刺さり、その勢いのままに諭吉師もろとも後方の黒板に突き刺さる。止めとばかりに貼り付けになった諭吉師の顔面にわら草履が『めり込む』。
「……天は、人の上に人を作ら、ず……ぐはあ」
時世の言葉を残して、諭吉師は沈黙した。
「ふん、殿に命令した挙句、手を出した報いを受けるがいい」
命令に関しては、授業の一部なのだが秀吉としてはそれすら許せないらしい。
「予言通り、新たな伝説が刻まれた」とは卑弥呼。
そんな混沌とした状況などお構い無しに鳴り響くチャイム。
終業の礼はできないであろうと判断したクラスメイトたちは各自、行動を開始する。
「昼休みか。サル、昼食の準備を」
「はは」
そんな状態で授業は消化されていくのだった。

・オペレーションスタート

「して、事の首尾の方はどうじゃ」
「万全であります、殿」
「やっと、オペレーション開始か。血沸き、肉踊るわ!!」
「ターゲットは、藤原謙信とします。作戦は、こうです」
「みなまで言うな、分っておるわ」
説明を聞かずに理解する信長だったが、秀吉が考えた作戦が絵を見れば一目瞭然だったからだった。
 作戦は、暴漢がターゲットとなる少女を襲っているのを信長が助けると言うものすごくシンプルなものであった。こんなものは誰でも、見ればわかる。
「流石です、殿。して暴漢役は、こちらで手配しておきました。あとは、放課後に指定した場所に殿が向かえば完璧です」
「万事抜かりはないな。放課後が楽しみじゃ」
「ご期待くださいませ。と、ザビエル師が来たようです」
いつものように教壇に立つ、ザビエル師。
「さあ、ヤロードモ、ホームルームの時間ダー」
妙なアクセントと多少おかしい日本語が響く。
教室の支配者の登場に浮き足立っていた教室が幾分静かになる。
「連絡はアーリマセーン。今日はこれで解散デース」
登場と同時に解散宣言をするザビエル師。そして、これも生徒から人気のある理由の一つであった。
 にわかに活気付く教室、しかし、彼の話はまだ終わっていなかった。
「……掃除当番、手を抜きやがったら掃除するからな」
 一瞬の殺気を放ち、直後にはいつもの笑顔を浮かべるザビエル師は、そのまま職員室へ引き返していくのだった。
「殿。あの男、やはり只者ではありませぬ」
「流石は我らが担任じゃ。並みの者では、我々を統率することなどできんわ」
「そうですな。このクラスは、変わり者が多いですからなあ」
彼らには、自分たちがその筆頭であると言う認識はないようであった。
「さて、出陣するとしようではないか」
「はは、万事抜かりなく。それでは、ここで分かれるとしましょうぞ」
「いざ、出陣じゃー」

時同じくして、天井裏。
「ふふふ、秀吉のアホについていけば問題ないわね。お兄様に近付く不貞の輩。……殺してあげるわ」
実際のところは、近付いて行くのはむしろ信長達なのだがそんなことを気にする彼女ではなかった。要は、恋仲になりそうな相手を片っ端から排除できればそれでいいのだ。
 眼下で秀吉が、サクラと思われる少年に千円を渡している。数分で済む猿芝居を打って千円なら割りはかなりいい。
 狂気と思しき木刀を手に、少年こと加藤ユキオは玄関を抜けて指定された場所へ向かう。
 追跡を開始する市であったが、数分で目的地に到着し猿芝居が開始される。
「おい、ねえちゃん。ちょっと、付き合ってくれよ」
「む。その、ねえちゃんとやらは私のことか」
前方に先行していた黒髪の女性に話しかけるユキオ。彼女は、部活の試合でもあるのだろうか黒い刀入れを携帯していた。
兄はまだ、現場に到着していない。最悪このまま放置しておいても、問題はないだろう。
「そうだ、ある方からの依頼でな。俺が相手をしねえといけなくてよ」
「私と手合わせしたいと言うことか? いいだろう、『相手』になろう」
「そいつは、話がはええ。こいやあ」
このとき、両者の間には認識のずれが生じていた。
「佐々木謙信いざ、参る」
「は?」
少年が木刀を持っていたことも災いした。
彼女は少年のことを、自分に果し合いを申し込んできた『相手』だと思っていた。
不意打ち同然で攻撃を受けることとなった、ユキオ少年はそのまま吹き飛ばされ瞬殺されることと相成った。
「友愛って、大切だよね。……ガクリ」
「あっけない。しかし、久方ぶりの果し合い。楽しませてもらった」
その様子を見守っていた佐藤市は、この後に信長が到着しても何ら問題ないと踏み、その場を後にした。
 謙信は、倒れた相手を道の端に寄せ、周りの迷惑にならないように後始末をしていた。
 そんなときに、信長が到着する。
「お主が、ターゲットとやらか? ふん、秀吉、しくじりおったか」
「ターゲット? 依頼主の登場といったところか、いいだろう。相手になる」
「じゃじゃ馬よのう。また、それもよし」
「いざ、尋常に勝負」
信長は、ちょうど自分の横に立てかけてあった木刀を手に取り、得物を手に持ち迫る相手に向かい合う。
「お主、なかなかやるな」
「そちらこそやるではないか。久しく感じてなかった昂ぶりを覚えるぞ」
そういう間にも、両者の間には無数の剣先が交差する。
いつからこの話はバトルものにシフトしたのかと疑いたくなるくらい激しい戦いだ。
「心地よい、なんだこの感情は」
「胸がときめくようだ、やはり戦いはよい」
「そうか、この高ぶりが……恋だな」
「ななな、なにを……いうのだ」
突拍子も無い言動に、動揺を隠せない謙信。
驚き、バックステップして後退する。
「秀吉、にくい奴。そういう作戦だったとは、食わせ物よのう」
「だから、一体何を言っているのだ! 貴様は」
「ふははは、そうだ。この作戦は最初から刀で語り合うためのものだったと言うことだな。言葉では本当の気持ちなど伝わらないのだ、だから我の作戦はこれまで失敗を重ねていた」
「……刀で語り合うだと?」
「お主もいっていたではないか、ときめきを感じたと。それは、恋だ」
「な、な、な、うわーん。おかーさーん」
顔を真っ赤にして、木刀を放り投げると謙信はその場を一目散に消えてしまった。



とまあ、そんな感じ。一応、ヒロインが登場するところまで。
しかし、文章そのまま載せると当日もらいにくる意味がないような。まあ、体験版みたいなものか。
てか、最近は文章の調子がいいからそっちばっか書いていましたが、いい加減に絵も練習せねば。あー、時間がないー。

1 件のコメント:

  1. 草稿と言うか没設定とか書いても良いのかもしれませんね。
    「僕の小説が○○倍楽しめる記事が読めるのはブログだけ!」

    ……みたいな?

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